Overviewよくある切り替えの理由
ご相談の入口は、だいたい次のいずれかです。
- 返事が遅い、連絡が取りにくい——質問してから回答まで1週間かかる、電話が担当者につながらない。判断を急ぐ場面で困ります。
- 担当者が代わる/税理士本人と話せない——毎年のように担当が代わり、そのたびに事情を説明し直している。
- 報酬の根拠が分からない——何にいくらかかっているのか説明を受けていない。値上げの理由も分からない。
- 数字の説明がない——決算書は出てくるが、その意味や次に打つ手の話がない。
- 自分の業種に詳しくない——業種特有の論点を相談しても、一般論しか返ってこない。
- 提案がない——言われたことはやってくれるが、事前に「こうしておいたほうがよい」という話が出てこない。
このうち、報酬と数字の説明については、切り替える前に一度確認してみる価値があります。聞けば説明してもらえることも多く、それで解決するなら切り替えのコストはかかりません。一方、レスポンスの速さと担当体制は、事務所の作りに根ざしているため、話し合いで変わりにくい部分です。
Timingいつ変えるのがよいか
時期の選び方で、切り替えの負担はかなり変わります。
| 時期 | 評価 |
|---|---|
| 決算月の直後 | もっともスムーズ。前期の決算と申告が終わっているため引き継ぐ資料が確定しており、新しい税理士が期首から見られます。 |
| 期の途中 | 可能です。ただし期首からの帳簿を引き継ぐ必要があり、会計データの受け渡しがうまくいかないと入力し直しになることがあります。 |
| 決算月の直前・申告期限の直前 | 避けたい時期です。前任者は決算の途中で手を引くことになり、後任者は事情を把握しないまま期限に間に合わせることになります。ミスが起きやすく、報酬も高くつきがちです。 |
| 個人の確定申告期(1〜3月) | 同じく避けたい時期です。どの事務所も繁忙期で、丁寧な引継ぎができません。 |
個人事業主の方は、申告が終わった直後(4月〜秋)が動きやすい時期です。法人は決算月の直後を基本に考えてください。
なお「すぐに変えたい」というご事情がある場合は、時期にかかわらずご相談ください。期限が迫っている場合でも、どこまでお引き受けできるかを確認したうえでお返事します。
Documents返してもらう資料
ここがいちばん重要です。帳簿書類は会社(事業主)のものですから、預けているものは返してもらいます。次のリストを持って申し出てください。
- 総勘定元帳・仕訳帳(できれば過去数期分)
- 決算書と申告書の控え——法人税・地方税・消費税。個人なら確定申告書と青色申告決算書
- 税務署等への届出書の控え——設立届、青色申告の承認申請、源泉所得税の納期の特例、消費税関係の届出。これが最も引き継がれにくく、最も重要です
- 会計データ——会計ソフトのバックアップデータ。ソフトが同じなら、そのまま読み込めます
- 固定資産台帳(減価償却資産の明細)
- 預けている原本——領収書、請求書、通帳、契約書など
とくに届出書の控えは軽視されがちですが、これがないと「消費税の簡易課税を選択しているのか」「納期の特例を受けているのか」が分かりません。分からないまま処理すると、期限を落としたり有利な選択を取り逃したりします。控えが見当たらない場合は、税務署で申告書等の閲覧を申請して確認する方法もあります。
会計データについては、ソフトによって受け渡しの形式が異なります。前任の事務所と同じソフトが使えるかどうかで手間が変わるため、切り替えの相談時にどのソフトを使っているかを伝えておくとスムーズです。
Contract契約の解約
顧問契約書がある場合は、解約について次の2点を確認してください。
- 申し出の時期——「解約は◯か月前までに申し出る」といった定めがあることがあります。1〜3か月前とされている例が多く見られます。
- 報酬の精算——月額顧問料をどこまで支払うか、決算報酬を前払いしている場合の扱いはどうか。年払いの場合の返金の有無も確認しておきます。
気まずさから理由を細かく説明しようとする方が多いのですが、詳しい理由を伝える義務はありません。「体制を見直すことにしました」「知人の紹介で別の事務所にお願いすることにしました」といった伝え方で十分です。理由を並べると議論になりやすく、資料の引き渡しがかえって滞ることがあります。
伝える手段は、記録の残るメールや書面をおすすめします。あわせて、返却してもらう資料のリストを添えておくと、話が早く進みます。
Steps切り替えの進め方
- 新しい税理士を先に決める——先に解約してしまうと、空白期間に届いた税務署からの書類や、期限のある届出に対応できなくなります。順番を逆にしないでください。
- 現状を伝えて見積りを取る——業種、規模、決算月、記帳の状況、現在の報酬と業務範囲。この5つが分かれば、たいていの事務所は概算を出せます。
- 引継ぎの時期を決める——決算月との関係で、いつから新しい事務所が担当するかを決めます。
- 前任の事務所に解約を申し出る——契約の定めに従い、資料の返却リストを添えて連絡します。
- 資料を受け取り、新しい事務所へ渡す——リストと突き合わせて、不足がないか確認します。
- 税務代理権限証書を切り替える——新しい税理士が提出します。税務署からの連絡先が変わります。
1から6まで、余裕をもって2〜3か月をみておくと安心です。
Cautions気をつけること
- 「報酬が安い」だけで選ばない——業務範囲が違えば金額は変わります。記帳代行が含まれるのか、年末調整や法定調書は含まれるのか、月次で会うのか年1回なのか。同じ条件に揃えてから比べてください。
- 担当が誰になるかを確認する——契約は税理士と結びますが、実際に対応するのが誰かは事務所によります。誰が数字を見て、誰が質問に答えるのかを、契約前に確認しておくと後で困りません。
- 過去の申告の内容は引き継がれる——切り替えても、過去に提出した申告書がなくなるわけではありません。過去分に不安がある場合は、その旨を新しい税理士に伝えてください。誤りがあれば修正申告や更正の請求で対応できることがあります。
- 期限のある届出を落とさない——切り替えの前後は、届出の期限が抜けやすい時期です。消費税の届出は原則としてその課税期間が始まる前に出す必要があり、遅れると1年待つことになります。
Second Opinion変えずに、意見だけ聞くという選択
「切り替えるほどではないが、いまの処理が適切か確認したい」という場合は、セカンドオピニオンという形もあります。
直近の決算書と申告書を拝見して、次のような点をお伝えします。
- 使える特例や制度で、取りこぼしているものがないか
- 役員報酬の水準、消費税の課税方式の選択が実態に合っているか
- 報酬の水準が、業務範囲に照らして妥当かどうか
- いまの体制のまま改善できることと、変えないと難しいこと
結果として「いまのままで問題ありません」というお返事になることもあります。それはそれで、判断がついたということです。切り替えを前提としないご相談で構いません。
FAQよくある質問
いま契約している税理士に知られずに相談できますか?
できます。ご相談の内容を当事務所から外部にお伝えすることはありません。税理士には法律上の守秘義務があります。切り替えを前提としないご相談でも構いません。
期の途中でも変えられますか?
変えられます。ただし期首からの帳簿を引き継ぐ必要があるため、会計データの受け渡しがうまくいくかで手間が変わります。もっともスムーズなのは決算月の直後で、避けたいのは決算や申告期限の直前です。
前の税理士が資料を返してくれない場合はどうすればよいですか?
総勘定元帳や原本の書類は会社(事業主)のものですので、返却を求められます。返却してほしい資料のリストを書面やメールで示して申し出てください。届出書の控えが手元にない場合は、税務署で申告書等の閲覧を申請して確認する方法もあります。
過去の申告に間違いがあったらどうなりますか?
内容によります。納め過ぎていた場合は、原則として法定申告期限から5年以内であれば更正の請求で還付を受けられることがあります。不足していた場合は修正申告になりますが、指摘を受ける前に自主的に申告するほうが加算税の負担は軽くなります。まずは内容を確認させてください。
切り替えの理由を、前の税理士に説明しないといけませんか?
詳しい理由を伝える義務はありません。「体制を見直すことにしました」といった伝え方で十分です。理由を細かく説明すると議論になりやすく、資料の引き渡しがかえって滞ることがあります。
Our Support当事務所のサポート
W総合会計officeでは、顧問税理士の切り替えについて、現状の報酬と業務範囲をうかがったうえで当事務所ならどうなるかを比較できる形でお出しし、引き継ぐ資料のリスト作成、切り替え時期のご提案、届出書の確認までお手伝いします。最初のご相談から申告書のご確認まで、税理士が自分の手で行っています。途中で担当者が代わることもありません。ご連絡はLINEでも直接やり取りできますので、お返事が早く、細かな確認もその場で片づきます。切り替えを前提としないセカンドオピニオンのご相談も承っています。
※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の取扱いは事実関係により異なります。契約の解約条件、引き継ぐ資料の範囲、過去の申告の是正など、具体的なご判断は当事務所にご相談ください。制度・税制は改正される場合があります(記載内容は2026年9月時点)。
切り替え後の業務の範囲と報酬の決め方は、法人は 法人顧問・決算申告、個人の方は 確定申告の代行・記帳代行(丸投げOK)、相続のご相談は 相続税・贈与税申告 のページをご覧ください。