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Year-End Tax Adjustment — 年末調整

年末調整の進め方
令和8年分の改正と、集める書類・期限

年末調整は、毎月の給与から天引きしてきた所得税を、その年の正しい税額に合わせる手続きです。令和8年分(2026年分)は、ここに令和8年度改正が入ります。基礎控除が62万円に、扶養親族等の合計所得金額の要件が62万円に上がるため、これまで扶養から外れていたご家族が扶養に入るケースが出てきます。対象になる人、集める書類、11月から1月末までの段取りを、条文にあたりながら整理します。

代表税理士 渡邊巧
監修・執筆 — Author
代表税理士 渡邊 巧 W総合会計office(高円寺の税理士)
確定申告・法人税・相続税・贈与税・記帳代行・経営相談に対応。
公開:2026年6月 / 最終更新:2026年8月31日

Overview年末調整とは何をする手続きか

毎月の給与から天引きされている所得税は、源泉徴収税額表に当てはめて計算した概算です。扶養家族の増減、生命保険料や地震保険料の支払い、社会保険料の実額といった事情は、毎月の天引きには反映されていません。

そこで、その年最後の給与を支払うときに1年分の正しい税額を計算し直し、天引きした合計との差額を精算します。これが年末調整です(所得税法第190条)。多く引きすぎていれば還付、足りなければ追加徴収になります。

会社にとっては義務です。対象者について年末調整をしなかった場合、納付すべき税額の不足が生じれば不納付加算税や延滞税の対象になり得ます。

Who対象になる人・ならない人

条文は、対象を次のように定めています。給与所得者の扶養控除等申告書を提出している居住者で、その年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が2,000万円以下である人(所得税法第190条)。

年末調整の対象
区分年末調整
扶養控除等申告書を出している人(給与2,000万円以下)対象
パート・アルバイト(扶養控除等申告書を出していれば対象)対象
年の中途で入社し、前職の源泉徴収票を提出した人対象(前職分を合算して計算)
給与等の金額が2,000万円を超える人対象外(確定申告へ)
扶養控除等申告書を出していない人(乙欄・掛け持ちの従たる勤務先など)対象外
役員報酬を受け取っている社長対象(2,000万円以下で申告書を出していれば)

社長一人の会社でも、役員報酬を出していれば年末調整が必要です。「うちは自分だけだから関係ない」と思われがちですが、源泉徴収と年末調整、翌1月の法定調書までがひとそろいの手続きになります。

2026 Reform令和8年分はここが変わる

令和8年度改正により、次の点が変わります。令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。

令和8年分の年末調整で変わること
項目改正前令和8年分
基礎控除(本則)58万円62万円
基礎控除の上乗せ
令和8年・9年分の措置
合計所得489万円以下は104万円
489万円超655万円以下は67万円
給与所得控除の最低保障額65万円69万円
給与収入220万円以下ならさらに5万円上乗せで74万円
扶養親族等の合計所得金額の要件58万円以下62万円以下
収入が給与だけなら136万円

毎月の天引きは、まだ変わりません

改正は令和8年分以後の所得税に適用されますが、毎月の給与から天引きする源泉徴収税額表への反映は、令和9年1月1日以後に支払う給与からです。

つまり令和8年分は、毎月の天引きは従来どおり、年末調整で新しい控除を使って年税額を計算するという段取りになります。そのぶん還付が例年より大きくなる方が出ますので、12月の資金繰りに織り込んでおいてください。

実務でいちばん影響が出るのは扶養の判定です。要件が58万円以下から62万円以下(収入が給与だけなら136万円)に上がるため、これまで扶養から外れていたパート・アルバイトのご家族が、令和8年分から扶養に入れるケースが出てきます。扶養控除等申告書を配るときに、この点を一言添えておくと年明けの訂正が減ります。

なお上乗せは令和8年・9年分の措置で、令和10年分以後は区分が変わり、合計所得132万円以下の方に37万円が上乗せされて99万円となる予定です。

Documents集める申告書と証明書

従業員から集めるものは、大きく申告書証明書に分かれます。

申告書(会社が用紙を配って回収する)

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書——翌年分を年末に、その年分の異動があれば訂正して回収します
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書——1枚に複数の申告が入った様式です
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書——住宅ローン控除の2年目以降の方

証明書(従業員が用意して添付する)

  • 生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の控除証明書
  • 地震保険料の控除証明書
  • 国民年金保険料・国民健康保険料を自分で払った分の証明書(国民年金は証明書が必要)
  • 小規模企業共済等掛金(iDeCo を含む)の控除証明書
  • 住宅ローンの年末残高等証明書
  • 年の中途で入社した方の前職の源泉徴収票

毎年つまずくのが国民年金の控除証明書前職の源泉徴収票です。前者は10月ごろに日本年金機構から本人宛に届き、紛失すると再発行に時間がかかります。後者が出てこないと年末調整で合算できず、その人だけ確定申告になります。11月の案内で名指しして依頼しておくのが確実です。

Schedule11月から1月末までの段取り

年末調整のスケジュール
時期やること
10月〜11月上旬従業員へ申告書を配布。控除証明書の準備を依頼する
11月中〜下旬申告書と証明書を回収し、記載漏れ・押印漏れ・証明書の不足を確認する
12月の給与年税額を計算し、その年最後の給与で過不足を精算する
翌1月10日源泉所得税の納付(納期の特例を受けている場合は翌1月20日
翌1月31日源泉徴収票・法定調書合計表を税務署へ
給与支払報告書を従業員の住所地の市区町村へ
償却資産申告書(該当があれば)

1月31日に3つの提出が重なります。給与支払報告書は従業員が1月1日時点で住んでいる市区町村ごとに出すため、住所の異動があった人は要注意です。これを基に住民税が計算され、6月からの特別徴収につながります。

12月の給与で還付が出る場合、その分は会社が立て替えて先に返す形になります。人数が多いとまとまった金額になるため、12月の資金繰りに入れておいてください。翌1月に納付する源泉所得税から差し引いて調整します。

Not Enough年末調整では済まず、確定申告が要るケース

年末調整は会社が把握できる範囲の精算です。次のものは年末調整では扱えないため、本人が確定申告をすることになります。

  • 医療費控除——年末調整ではできません
  • 寄附金控除(ふるさと納税)——ワンストップ特例を使わない場合、または6自治体以上に寄付した場合
  • 住宅ローン控除の1年目——2年目以降は年末調整でできます
  • 雑損控除——災害・盗難・横領による損失
  • 給与以外の所得が20万円を超える場合——副業、不動産、株式の譲渡など(所得税法第121条第1項)
  • 給与等の金額が2,000万円を超える場合
  • 2か所以上から給与を受けていて、従たる勤務先の給与と他の所得の合計が20万円を超える場合

20万円以下でも住民税の申告は要ります

給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別に必要です。20万円ルールは所得税だけの取扱いで、住民税には適用されません。ここは従業員から質問が出やすいところなので、案内に一行入れておくと親切です。

ふるさと納税をした従業員から「年末調整でできますか」と聞かれることがあります。ワンストップ特例を使えば確定申告は不要ですが、その場合も年末調整の手続きとは無関係です。医療費控除などで確定申告をするとワンストップ特例は無効になるので、両方に該当する方には確定申告でまとめて申告するようご案内ください。

Common Mistakesよくある間違い

  • 扶養の判定を「収入」でしている——判定するのは合計所得金額です。給与だけなら給与所得控除を引いた後の金額で見ます。令和8年分は所得62万円以下(給与収入136万円以下)が目安です
  • 年の中途で入社した人の前職分を合算していない——前職の源泉徴収票を回収して合算します。回収できないとその人は確定申告になります
  • 社会保険料の実額を拾っていない——給与天引き分に加え、本人が直接払った国民年金・国民健康保険も控除できます。証明書を確認してください
  • 給与支払報告書を出し忘れる——税務署への法定調書だけを出して市区町村への提出を忘れると、住民税の計算に反映されません
  • 役員・社長の分をやっていない——役員報酬も給与です。一人会社でも対象になります

年末調整のやり直しは、翌年1月31日までであれば会社側で再計算できます。それを過ぎた場合は本人の確定申告で精算することになりますので、12月中の確認を丁寧にしておくほうが結局は早く済みます。

FAQよくある質問

社長ひとりの会社でも年末調整は必要ですか?

必要です。役員報酬も給与にあたるため、扶養控除等申告書を提出していて給与等の金額が2,000万円以下であれば年末調整の対象になります(所得税法第190条)。翌1月の法定調書と給与支払報告書の提出も要ります。

令和8年分から何が変わりますか?

基礎控除の本則が62万円に、給与所得控除の最低保障額が69万円(給与収入220万円以下なら74万円)に、扶養親族等の合計所得金額の要件が62万円に引き上げられます。令和8年・9年分は基礎控除に上乗せがあり、合計所得489万円以下なら104万円です。

毎月の天引きも令和8年から変わるのですか?

いいえ。源泉徴収税額表への反映は令和9年1月1日以後に支払う給与からです。令和8年分は毎月の天引きは従来どおりで、年末調整のときに新しい控除で年税額を計算します。そのぶん還付が大きくなる方が出ます。

パートの妻の収入が130万円ありますが、扶養に入れますか?

令和8年分からは、収入が給与だけなら136万円以下であれば合計所得62万円以下となり、扶養親族等の所得要件を満たします。ただし社会保険の扶養は税法とは別の基準ですので、あわせて確認が必要です。

ふるさと納税は年末調整でできますか?

できません。ワンストップ特例を使えば確定申告も不要ですが、医療費控除などで確定申告をするとワンストップ特例は無効になります。その場合はふるさと納税分も確定申告に含めてください。

Our Support当事務所のサポート

W総合会計officeでは、年末調整の一連の手続きを代行しています。従業員へ配る申告書の準備と回収のご案内、記載内容と証明書のチェック、年税額の計算と12月給与での精算、源泉徴収票の作成、翌1月の法定調書合計表・給与支払報告書・償却資産申告書の提出までを一括してお引き受けします。令和8年分は改正の初年度で、扶養の判定が変わる方が出ます。「今年から扶養に入れるのか」といった従業員からのご質問にも、こちらでお答えします。社長おひとりの会社でも承っています。

※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の取扱いは事実関係により異なります。扶養の判定、控除の適用可否、提出書類の要否など、具体的なご判断は当事務所にご相談ください。制度・税制は改正される場合があります(記載内容は2026年9月時点)。

年末調整の代行を含む顧問業務は 法人顧問・決算申告、記帳とあわせてのご依頼は 記帳代行(丸投げOK)、年末調整では済まない方の申告は 確定申告の代行 のページをご覧ください。

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