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【ボクサー・格闘家の確定申告ガイド】ファイトマネー・経費・節税を税理士が解説

代表税理士 渡邊巧
監修・執筆 — Author
代表税理士 渡邊 巧 W総合会計office(高円寺の税理士)
確定申告・法人税・相続税・贈与税・記帳代行・経営相談に対応。
公開:2026年6月 / 最終更新:2026年9月2日

杉並区高円寺の税理士・W総合会計office(代表税理士:渡邊巧)が、プロボクサー・格闘家・アスリート向けに、ファイトマネーや賞金の確定申告と経費・節税のポイントを解説します。

ファイトマネー、賞金、スポンサー料、ファイトの遠征費、ジムの会費——。プロアスリートのお金の流れは独特で、「これは確定申告が必要?」「トレーニング費用は経費になる?」と迷う方が多いはずです。

この記事では、アスリートの税務に対応してきた税理士の視点から、収入の扱い経費にできるもの青色申告での節税法人設立による上級の節税最新の税制改正までまとめます。


1. ボクサー・格闘家も確定申告が必要

ジムや団体に所属していても、多くのプロアスリートは「給与所得者」ではなく個人事業主(またはフリーランス)として扱われます。そのため、次のような収入は自分で確定申告する必要があります。

ファイトマネーや報酬は、支払い時に源泉徴収(所得税の天引き)されていることがあります。この場合、確定申告をすると納め過ぎた税金が還付されるケースも多いため、申告は欠かせません。

ポイント:収入が「事業所得」になるか「雑所得」になるかは、活動の規模や継続性で判断が分かれます。事業所得と認められれば青色申告の節税メリットを受けやすくなります。判断に迷う場合は税理士に相談しましょう。


2. ボクサー・格闘家が経費にできるもの【具体例】

経費は「競技活動・収入を得るために必要な支出」です。アスリートならではの経費には次のようなものがあります。

トレーニング・競技関連

試合・遠征

コンディショニング・その他

グレーゾーンに注意:サプリメントや食事代、私生活と兼用のウェアなどは、「競技に必要」と第三者に説明できることが前提です。プライベートと混ざりやすい支出は、用途のメモと領収書の保管を徹底しましょう。


3. 青色申告で節税する

事業所得として申告できる場合、青色申告で大きな節税が可能です。

引退後を見据えた資産形成や、現役中の収入の波への備えも含め、早い段階で帳簿を整えておくことをおすすめします。


4. さらに上級の節税|会社(法人)を設立して所得を分散する

ファイトマネーに加えてスポンサー料・広告契約・メディア出演・グッズ販売などの収入が増えてきた選手は、個人で全部受け取るよりも、自分の会社(法人)を設立して、広告・PR周りの収入を法人の売上にすることで、トータルの税負担を抑えられるケースがあります。所得が大きくなるほど検討価値が高まる、上級者向けの選択肢です。

① 広告・スポンサー収入を法人売上にする

ファイトマネーは選手個人に紐づく性質が強い一方、スポンサー契約・広告出演・グッズ・YouTube等のPR収入は、マネジメント会社(法人)の売上として受けやすい収入です。これらを法人に移すことで、次の効果が期待できます。

② 親族を役員にして所得分散

設立した法人で、マネジメントや経理を手伝う配偶者・親などを役員にして役員報酬を支払うと、収入を家族に分散できます。

ポイント:役員報酬は実際の職務の実態に見合った金額である必要があります。名前だけの役員に不相応な報酬を出すと否認されるリスクがあるため、設計は税理士と行うことが重要です。

③ その他の法人化メリットと注意点

法人化が有利になるかは、収入の規模・契約の内容・家族構成・引退後のプランまで含めた総合判断が必要です。スポンサーがつき始めた、収入の柱が複数になってきた——そんな段階で一度シミュレーションをおすすめします。


5. 令和8年分(2026年分)の改正ポイント

令和8年度改正により、令和8年分(2026年分)から基礎控除の本則が62万円に引き上げられました(令和7年分は58万円、令和6年分までは48万円)。さらに令和8年・9年分は期間限定の上乗せがあり、合計所得489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円、655万円超2,350万円以下は62万円となります。あわせて給与所得控除の最低保障額は65万円から69万円に引き上げられ、令和8年・9年分は給与収入220万円以下の場合にさらに5万円が上乗せされて74万円になります。扶養親族等の合計所得金額の要件も58万円から62万円になりました(令和8年12月1日施行・令和8年分以後の所得税に適用)。収入が年によって大きく変わるアスリートにとって、控除の使い方は手取りに直結します。なお、上乗せは令和8年・9年分の措置です。令和10年分以後は区分が変わり、合計所得132万円以下の方に37万円が上乗せされて99万円となる予定です。


6. 確定申告をスムーズに進める3つのコツ

  1. 収入と経費をその都度記録する:複数の団体・スポンサーから入金がある場合、記録が遅れると漏れやすくなります。会計ソフトの活用が便利です。
  2. 源泉徴収された金額を把握する:支払調書や明細を保管し、還付の取りこぼしを防ぎましょう。
  3. 収入が増えた年・スポンサーがついた年は税理士へ:申告方法ひとつで税額が大きく変わります。

7. インボイス制度と2割特例

ファイトマネーや賞金を支払うジム・興行団体・スポンサー企業の多くは課税事業者です。支払う側はインボイス(適格請求書)がないと消費税の仕入税額控除ができないため、選手側に登録を求めてくることがあります。

選手の多くは年間の売上が1,000万円以下の免税事業者です。登録すると免税事業者であっても課税事業者となり、消費税の申告・納税義務が生じます。そこで用意されているのが負担軽減措置です。

インボイス登録に伴う負担軽減措置(個人事業者)
適用時期特例納付税額
〜令和8年分(2026年分)2割特例売上税額の2割
令和9年分・令和10年分3割特例売上税額の3割

登録するかどうかは、収入の相手が誰かで判断します。ファイトマネー・スポンサー料・企業からの指導料が中心なら登録を検討する場面が多く、パーソナルトレーニングなど一般の個人からの収入が中心なら、登録しない選択も十分に合理的です。相手は仕入税額控除を必要としないためです。

なお、免税事業者であることだけを理由に、支払う側が一方的に報酬を引き下げたり取引を打ち切ったりすることは、独占禁止法・下請法上の問題になり得ます。「登録しないなら報酬を消費税分下げる」と一方的に通告された場合は、応じる前にご相談ください。


8. よくある質問

ジムに所属していますが、給与ではないのですか?

ジムや団体に所属していても、多くのプロ選手は給与所得者ではなく個人事業主として扱われます。ファイトマネー、賞金、スポンサー料、指導料などは、自分で確定申告が必要です。

ファイトマネーから引かれている税金は戻ってきますか?

経費を差し引いた本来の税額より源泉徴収額のほうが多ければ、その差額が還付されます。申告しなければ戻ってきませんので、支払調書や振込明細は必ず保管してください。

サプリメントや食事代は経費になりますか?

競技に必要だと第三者に説明できる範囲に限られます。減量や体づくりのための支出でも、私生活と切り分けられないものは否認されやすいところです。目的と使途を記録に残しておいてください。

収入が少ない年でも申告したほうがよいですか?

青色申告をしていれば赤字を最長3年繰り越せます。デビュー初期やケガで収入が落ちた年の損失を、稼げた年の利益と相殺できるため、赤字の年こそ申告しておく価値があります。

法人をつくると有利になりますか?

スポンサー料・広告出演・グッズ・配信などの収入が増えてきた場合は、その部分を法人の売上にすることで税負担を抑えられることがあります。ファイトマネーは選手個人に紐づく性質が強いため、どこまで法人に移せるかは契約の内容によります。


アスリートの税務は、専門の税理士にお任せください

W総合会計office(東京都杉並区高円寺) は、ボクサー・格闘家をはじめアスリートやフリーランスの税務を数多くサポートしています。

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ファイトマネーの申告と帳簿づけの進め方は 確定申告の代行記帳代行(丸投げOK) のページに、当事務所のアスリート支援については 採用情報 にまとめています。


※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成した一般的な解説です。税制は改正される場合があり、個別の状況により取り扱いが異なります。実際の申告にあたっては税理士にご相談ください。

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