【カメラマンの確定申告ガイド】経費にできるもの・節税のコツを税理士が解説
杉並区高円寺の税理士・W総合会計office(代表税理士:渡邊巧)が、フリーランス・副業カメラマンの確定申告と経費をわかりやすく解説します。
カメラやレンズ、編集用パソコン、撮影のための移動費——。フリーランスや副業でカメラマンとして活動していると、「これは経費になるの?」「確定申告って何をすればいいの?」と迷う場面が多いはずです。
この記事では、カメラマンの税務に数多く対応してきた税理士の視点から、経費にできるもの・できないもの、節税につながる青色申告、そして令和8年分(2026年分)の税制改正のポイントまで、実務に沿ってまとめます。
Contents
1. そもそもカメラマンは確定申告が必要?
結論から言うと、カメラマンとしての所得(売上から経費を引いた利益)が一定額を超えると、確定申告が必要です。
- フリーランス(専業)の場合:事業で得た利益から各種控除を引いた額に税金がかかります。基礎控除などを超える所得があれば申告が必要です。
- 副業(会社員+撮影)の場合:給与以外の所得(撮影の利益)が年間20万円を超えると、確定申告が必要になります。
「赤字だから関係ない」と思っていても、青色申告で損失を翌年以降に繰り越せるなど、申告したほうが得になるケースは少なくありません。判断に迷う場合は、早めに税理士へ相談するのが安全です。
2. カメラマンが経費にできるもの【具体例】
機材・備品
- カメラ本体、レンズ、三脚、ストロボ、照明機材
- メモリーカード、外付けHDD・SSD、バッテリー
- 編集用パソコン、モニター、タブレット
- 撮影用の小道具・背景紙・衣装(撮影専用のもの)
ポイント:1セットあたり10万円以上の機材は「減価償却」といって、数年に分けて経費にするのが原則です。ただし青色申告なら、一定額未満の機材を一括で経費にできる特例(少額減価償却資産の特例)が使えます。この上限は、2026年3月31日までに取得した機材は30万円未満、2026年4月1日以後に取得した機材は40万円未満に引き上げられました(取得日で判定)。年間合計300万円までが対象です。高価な機材を買った年こそ、申告方法で税額が大きく変わります。
ソフト・サブスク
- Adobe Lightroom / Photoshop などの編集ソフト
- 写真販売・ポートフォリオサイトの利用料
- クラウドストレージ、データ納品サービス
移動・出張
- 撮影現場までの電車・バス・タクシー代
- ロケ撮影の宿泊費、駐車場代、高速代
- 車をロケに使う場合のガソリン代(事業割合分)
その他
- 撮影スタジオ・ロケ地のレンタル料
- モデル・アシスタントへの謝礼
- 名刺・チラシ・ポートフォリオの制作費、HP・広告費
- 撮影に関する書籍・セミナー・講座の受講料
- 仕事用の通信費・携帯代(事業割合分)
家事按分(自宅を仕事場にしている場合)
自宅の一部を撮影・編集・事務作業に使っているなら、家賃・電気代・通信費の一部を「事業で使った割合」に応じて経費にできます。これを「家事按分」といいます。たとえば自宅の3割を仕事に使っているなら、家賃の3割を経費に計上できる、というイメージです。
3. 経費にできないもの・グレーゾーンに注意
- プライベートでも使う支出:私用の旅行、家族との食事、趣味の買い物は経費になりません。
- 私用と兼用の機材・スマホ:仕事で使う割合だけが経費。全額は計上できません。
- 「打ち合わせ」名目の飲食:相手・目的の記録がないと否認されることがあります。
迷ったときの基本は「それは売上を生むために必要か?」「第三者に説明できるか?」。領収書やレシートは必ず保管し、何の支出かをメモしておきましょう。
4. 青色申告で大きく節税する
フリーランスカメラマンが節税するうえで、最も効果が大きいのが青色申告です。事前に届出を出して帳簿をつけることで、次のメリットが受けられます。
- 青色申告特別控除(最大65万円):利益からさらに最大65万円を差し引ける(e-Tax+複式簿記が条件)。
- 赤字の繰り越し(最長3年):機材投資などで赤字になった年の損失を、翌年以降の黒字と相殺できる。
- 30万円未満(2026年4月1日以後の取得分は40万円未満)の機材を一括経費にできる特例:高価な機材購入年の節税に有効。
- 家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)。
開業して間もない方は、開業届と青色申告承認申請書を期限内に出すことがスタートラインです。提出のタイミングを逃すと、その年は青色申告ができません。
5. 令和8年分(2026年分)の改正ポイント
令和8年分の確定申告(2027年2〜3月に提出)から、基礎控除がさらに引き上げられます。
- 基礎控除は本則58万円から62万円に引き上げ(令和6年分までは48万円)。
- さらに令和8年・9年分は期間限定の上乗せ措置があり、合計所得489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円、655万円超2,350万円以下は62万円となります。なお、上乗せは令和8年・9年分の措置です。令和10年分以後は区分が変わり、合計所得132万円以下の方に37万円が上乗せされて99万円となる予定です。
- あわせて給与所得控除の最低保障額は65万円から69万円に引き上げられ、令和8年・9年分は給与収入220万円以下の場合にさらに5万円が上乗せされて74万円になります。扶養親族等の合計所得金額の要件も58万円から62万円(収入が給与だけなら136万円)に引き上げられました。
いずれも令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。控除が増えるぶん、同じ売上でも手取りが増える・税負担が軽くなる可能性があります。自分がどの区分に当てはまるかは所得額によって変わるため、正確な金額は当事務所にご確認いただくと安心です。
6. 確定申告をスムーズに進める3つのコツ
- 売上と経費を毎月記録する:1年分をまとめてやると必ず漏れます。会計ソフトの活用がおすすめです。
- 領収書・請求書を撮影日ごとに整理する:案件ごとにフォルダ分けしておくと、後から経費の根拠を示せます。
- 迷ったら早めに税理士へ相談する:特に機材を多く買った年や、売上が伸びた年は、申告方法ひとつで税額が大きく変わります。
7. インボイス制度と2割特例
カメラマンの取引先は、制作会社・出版社・広告代理店・企業の広報部門など課税事業者が中心です。支払う側はインボイス(適格請求書)がないと消費税の仕入税額控除ができないため、登録を求められる場面が多い職種です。
一方で、売上が年間1,000万円以下なら本来は免税事業者で、登録すると消費税の申告・納税義務が生じます。判断の分かれ目は取引先の構成です。
| 取引先の中心 | 判断の目安 |
|---|---|
| 制作会社・出版社・企業 | 相手が仕入税額控除をできないため、登録を検討する場面が多い |
| 七五三・成人式・ウェディングなど個人のお客様 | 相手は仕入税額控除を必要としないため、登録しない選択も十分に合理的 |
登録した場合の納税は、負担軽減措置で抑えられます。2割特例(売上にかかる消費税の2割を納付)は個人事業者なら令和8年分(2026年分)の申告まで、その後継の3割特例(売上税額の3割)が令和9年分・令和10年分に適用されます。事前の届出は不要で、申告のときに選べます。
撮影の仕事は個人のお客様と法人の両方から受けることが多く、どちらの比率が高いかで結論が変わります。売上の内訳を見たうえで判断するのが確実です。
8. よくある質問
会社員です。副業の撮影収入はいくらから申告が必要ですか?
給与以外の所得(撮影の売上から経費を引いた利益)が年20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。20万円以下で所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になります。
カメラやレンズはいつ経費にできますか?
1セット10万円未満なら購入した年に全額を経費にできます。10万円以上は原則として減価償却ですが、青色申告なら少額減価償却資産の特例で30万円未満(2026年4月1日以後の取得分は40万円未満)を年間300万円まで一括で経費にできます。
私用と兼用のスマホやパソコンはどうなりますか?
仕事で使う割合だけが経費です。使用時間や使用日数など合理的な基準で按分し、その根拠をメモで残しておくと、あとから説明しやすくなります。
機材を買って赤字になりました。申告したほうがよいですか?
青色申告なら赤字を最長3年繰り越せます。機材投資で赤字になった年の損失を翌年以降の黒字と相殺できるため、赤字の年こそ申告しておく価値があります。
打ち合わせの飲食代は経費になりますか?
相手と目的が記録されていれば認められますが、記録がないと否認されることがあります。レシートの裏に相手先と用件を書き添える習慣をつけておくと確実です。
カメラマンの税務は、専門の税理士にお任せください
W総合会計office(東京都杉並区高円寺) は、カメラマンをはじめフリーランス・個人事業主の税務を数多くサポートしています。
- 確定申告・記帳代行・青色申告のサポート
- 開業時の届出・節税プランニング
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- 新高円寺駅から徒歩3分・高円寺駅から徒歩11分/営業時間 9:00〜20:00(土日祝を除く)
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※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成した一般的な解説です。税制は改正される場合があり、個別の状況により取り扱いが異なります。実際の申告にあたっては税理士にご相談ください。