Non-resident Rental

非居住者の不動産賃貸・確定申告|源泉徴収20.42%と納税管理人

代表税理士 渡邊巧
監修・執筆 — Author
代表税理士 渡邊 巧 W総合会計office(高円寺の税理士)
確定申告・法人税・相続税・贈与税・記帳代行・経営相談に対応。
公開:2026年6月 / 最終更新:2026年9月2日

杉並区高円寺の税理士・W総合会計office(代表税理士:渡邊巧)が、海外在住の非居住者が日本の不動産を貸すときの税務を解説します。

「海外に住んでいるが、日本にあるマンションや実家を人に貸している」——このような非居住者の大家さんには、日本の独自のルールが適用されます。とくに家賃からの源泉徴収確定申告の2点を押さえておく必要があります。


1. 家賃から20.42%が源泉徴収される

非居住者が日本の不動産を貸す場合、借主(テナント)が法人や個人事業者などのときは、支払う家賃から20.42%を源泉徴収して国に納める義務があります。つまり、大家さんが受け取る家賃は、あらかじめ税金が天引きされた金額になります。

例外:借主が「自分や親族が住むために」個人として借りている場合は、源泉徴収は不要です。一方、店舗・事務所として法人が借りているケースなどでは源泉徴収の対象になります。

「源泉徴収されていない」のは間違いなのか

実務でいちばん多いご相談が「家賃から何も引かれていないが、間違いではないか」というものです。多くの場合、間違いではありません。

所得税法施行令第328条第2号は、非居住者が持つ土地・家屋等の賃貸料のうち、その土地家屋等を自己またはその親族の居住の用に供するために借り受けた個人から支払われるものを、源泉徴収を要しない国内源泉所得と定めています。

借主による源泉徴収の要否
借主用途源泉徴収
個人自分または親族が住むため不要
個人店舗・事務所など事業のため必要(20.42%)
法人用途を問わない(社宅として借りる場合を含む)必要(20.42%)

つまりワンルームを個人に住居として貸していれば源泉徴収はなく、同じ部屋を法人が社宅として借りると源泉徴収が必要になります。入居者が入れ替わったタイミングで扱いが変わるため、管理会社任せにしていると気づかないことがあります。そして源泉徴収がない年でも、確定申告の義務そのものはなくなりません。ここを取り違えて何年も申告していないというご相談が、実際にあります。


2. それでも確定申告が必要

源泉徴収はあくまで「仮払い」です。実際の不動産所得は、家賃収入から固定資産税・管理費・減価償却・修繕費などの経費を差し引いて計算します。

多くの場合、源泉徴収された20.42%は本来の税額より多すぎるため、確定申告をすることで納め過ぎた税金が還付されるケースが少なくありません。「源泉徴収されているから申告しなくてよい」と考えると、損をすることがあります。


3. 経費にできるもの(居住者の大家さんと同様)

経費の考え方は国内の大家さんと基本的に同じです。きちんと経費を計上することで、所得と税額を適正に抑えられます。


4. 「納税管理人」を立てる

非居住者が日本で確定申告・納税を行うには、本人に代わって手続きする納税管理人を定め、税務署に届け出る必要があります。還付金の受け取りも納税管理人を通じて行えます。税理士が納税管理人を引き受けることで、海外にいながら申告・還付までを完結できます。

提出する書類と、出すタイミング

提出するのは「所得税・消費税の納税管理人の届出書」で、提出先は納税地を所轄する税務署です。非居住者の納税地は、国内にある不動産の所在地などをもとに決まります。

出国する前に定めておくのが原則です。納税管理人の届出をしないまま出国すると、その年の1月1日から出国の時までの所得について、出国の時までに申告・納税しなければなりません(所得税法第127条第1項)。届出をしておけば、通常どおり翌年3月15日までの申告で足ります。

還付金の受け取りにも納税管理人が要ります。国税の還付金は海外の口座に直接振り込めないため、還付を受けるには国内に受け取りの窓口が必要です。税理士が納税管理人を引き受ければ、申告から還付金の受領・送金までを日本国内で完結できます。


5. 居住用の家賃に消費税はかからない

住宅として貸している部分の家賃は消費税が非課税です。したがって、居住用のワンルームだけをお持ちの非居住者の大家さんは、家賃の額にかかわらず消費税の課税事業者にはなりません。

一方、店舗・事務所・駐車場として貸している場合は課税売上になります。課税売上高が1,000万円を超えると消費税の申告義務が生じ、テナントが課税事業者であればインボイス登録も検討することになります。物件を売却したときの建物部分も課税売上に含まれる点は見落とされがちです。


6. 物件を売るときも要注意

非居住者が日本の不動産を売却したときも、原則として買主が代金から源泉徴収を行い、その後に確定申告で精算します。賃貸から売却まで、非居住者には一貫して源泉徴収+確定申告の流れが関わってきます。

買主が源泉徴収する割合は10.21%です。ただし、買主が個人で、その人または親族の居住の用に供するために取得したものであり、かつ譲渡対価が1億円以下のときは源泉徴収が不要とされています(所得税法施行令第281条の3)。

賃貸のときの20.42%とは、割合も例外の条件も違います。「賃貸で源泉徴収されていなかったから売却でもされないはず」と考えると、資金計画が狂います。売却代金の10.21%が先に差し引かれると、住宅ローンの残債返済に足りなくなることもあるため、売却の前に試算しておいてください。


7. よくある質問

家賃から何も引かれていません。間違いですか?

多くの場合、間違いではありません。借主が個人で、自分または親族が住むために借りている場合は、源泉徴収は不要とされています(所得税法施行令第328条第2号)。ただし源泉徴収がない年でも、確定申告の義務そのものはなくなりません。

源泉徴収されているなら、申告しなくてよいのでは?

源泉徴収はあくまで仮払いです。経費を引いた実際の所得で計算すると、20.42%は本来の税額より多すぎることが少なくありません。申告することで納め過ぎた分が還付されます。

納税管理人は必ず必要ですか?

日本で確定申告や納税を行うには必要です。届出をしないまま出国すると、その年の1月1日から出国の時までの所得について出国の時までに申告・納税しなければなりません(所得税法第127条第1項)。還付金も海外の口座には直接振り込めないため、国内に受け取りの窓口が要ります。

居住用の家賃に消費税はかかりますか?

かかりません。住宅として貸している部分の家賃は非課税です。店舗・事務所・駐車場として貸している場合は課税売上になり、課税売上高が1,000万円を超えると消費税の申告義務が生じます。

物件を売るときも20.42%が引かれますか?

売却のときは10.21%です。買主が個人で、その人または親族の居住用に取得し、かつ譲渡対価が1億円以下のときは源泉徴収が不要とされています(所得税法施行令第281条の3)。賃貸のときとは割合も条件も違います。


非居住者の不動産税務は、高円寺の税理士へ

W総合会計office(東京都杉並区高円寺) は、非居住者の不動産賃貸・確定申告をサポートしています。

「源泉徴収されたままになっている」「申告すべきか分からない」という方は、お気軽にお問い合わせください。

非居住者の不動産所得の確定申告と記帳は、確定申告の代行記帳代行(丸投げOK) のページをご覧ください。


※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成した一般的な解説です。税制は改正される場合があり、個別の状況(居住地・租税条約・借主の属性など)により取り扱いが異なります。実際の申告にあたっては税理士にご相談ください。

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