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香港・海外在住者の日本の税務|居住者・非居住者の判定と確定申告

代表税理士 渡邊巧
監修・執筆 — Author
代表税理士 渡邊 巧 W総合会計office(高円寺の税理士)
確定申告・法人税・相続税・贈与税・記帳代行・経営相談に対応。
公開:2026年6月 / 最終更新:2026年9月2日

杉並区高円寺の税理士・W総合会計office(代表税理士:渡邊巧)が、香港など海外に住む方の「日本での税金」について解説します。

海外に住みながら日本に不動産や収入がある方、あるいは日本から海外へ移住した方にとって、「日本で税金を払う必要があるのか」は分かりにくいテーマです。ポイントは、まずあなたが日本の「居住者」か「非居住者」かを判定することから始まります。


1. まず「3つの区分」を判定する

日本の所得税では、その人の区分によって課税される所得の範囲が変わります。区分は次の3つです。

ポイント:「日本に住めば全世界課税」と誤解されがちですが、外国籍の方は来日からしばらく(過去10年で5年以下の間)は非永住者にあたり、海外の所得は国内払い・日本への送金分のみが課税対象です。全世界課税になるのは、日本国籍の居住者か、過去10年で5年を超えて居住した外国籍の方です。香港の方など、来日して間もない時期は課税範囲が限定される点が重要です。

判定は二段構えで考えます。まず住所・居所・滞在日数・生活の本拠などで居住者か非居住者かを判定し、居住者の中で国籍と居住期間(過去10年で5年)によって非永住者か永住者かを分けます。香港に住んでいても、日本に住所があると判断されれば居住者扱いになることがあるため、実態に即した検討が必要です。


2. 非居住者に課税される「国内源泉所得」

非居住者でも、次のような日本国内で生じた所得には日本の税金がかかります。

これらは、源泉徴収だけで完結するものと、確定申告が必要なものがあります。特に不動産の賃貸・売却は確定申告が必要になるのが一般的です。


3. 海外に住む人は「納税管理人」が必要

非居住者が日本で確定申告や納税をする場合、本人に代わって手続きを行う納税管理人を定め、税務署に届け出る必要があります。税理士が納税管理人を引き受けることで、海外にいながら日本の申告・納税をスムーズに進められます。


4. 日本を離れるときにやること

「183日いなければ非居住者」ではありません

租税条約に出てくる183日ルールを、日本の居住者判定そのものだと理解している方が多いのですが、別の話です。日本の所得税法では、国内に住所があるか、または1年以上居所があるかで居住者を判定します。住所とは「生活の本拠」であり、滞在日数だけでなく、職業、生計を一にする家族の居所、資産の所在などから総合的に判断されます。日本に家族と持ち家を残したまま単身で赴任した場合、滞在日数が少なくても居住者と判定されることがあります。

183日ルールが登場するのは、租税条約でどちらの国が課税するかを決めるとき(短期滞在者免税など)です。日本の居住者判定を置き換えるものではありません。

出国前に納税管理人を届け出る

納税管理人を定めて税務署に届け出ないまま出国すると、その年の1月1日から出国の時までの所得について、出国の時までに申告・納税しなければなりません(所得税法第127条第1項)。届出をしておけば、通常どおり翌年3月15日までの申告で足ります。出国前のあわただしい時期に申告を済ませるのは現実的ではないため、渡航が決まった段階で手当てしておくのが安全です。

1億円以上の有価証券をお持ちの方——国外転出時課税

国外転出の時に有価証券などを1億円以上持っている居住者で、かつ国外転出の日前10年以内に国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年を超える方は、実際には売っていなくても、その時の価額で譲渡したものとみなして所得税が課されます(所得税法第60条の2)。1億円未満の方、国内にいた期間が5年以下の方には適用されません。

納税猶予の制度もありますが、こちらも納税管理人の届出と担保の提供が前提です。株式や投資信託をまとまった額で保有したまま海外へ移る予定がある方は、出国の前にご相談ください。出国してしまうと選べる手が減ります。


5. 租税条約(二重課税の調整)

日本と多くの国・地域との間には租税条約があり、同じ所得に日本と居住国の両方で課税される「二重課税」を調整する仕組みがあります。配当や利子の税率が軽減されたり、どちらの国で課税するかが定められていたりします。適用には届出などの手続きが必要な場合があります。


6. 海外がからむ相続にも注意

相続税は、亡くなった方や相続人が日本に住んでいるか、海外に住んでいるか、国籍や居住期間などによって課税される財産の範囲(国内財産だけか/全世界財産か)が変わります。海外資産や海外在住の相続人がいる場合は、特に税理士による事前の整理が重要です。当事務所でも承っています。


7. よくある質問

海外に住んでいれば、日本の税金はかかりませんか?

日本国内で生じた所得(国内源泉所得)には日本の税金がかかります。日本にある不動産の賃貸収入や売却益、日本国内で行った勤務による所得などが該当し、不動産の賃貸・売却は確定申告が必要になるのが一般的です。

183日以上いなければ非居住者ですか?

それは租税条約でどちらの国が課税するかを決めるときのルールで、日本の居住者判定とは別の話です。日本の所得税法では、国内に住所があるか、1年以上居所があるかで判定します。家族と持ち家を日本に残したままなら、滞在日数が少なくても居住者と判定されることがあります。

外国籍で来日したばかりです。海外の所得も申告が必要ですか?

非永住者に当たる間は、国外源泉所得については日本国内で支払われた分と日本へ送金された分だけが課税対象です。非永住者とは、日本国籍がなく、過去10年以内に日本に住所・居所があった期間の合計が5年以下の方をいいます。

出国する前にやっておくことはありますか?

納税管理人を定めて税務署に届け出ることです。届出をしないまま出国すると、その年の1月1日から出国の時までの所得について、出国の時までに申告・納税しなければなりません(所得税法第127条第1項)。

株式を持ったまま海外に移ると課税されると聞きました。

国外転出の時に有価証券などを1億円以上持っていて、かつ出国前10年以内に国内に住所・居所を有していた期間の合計が5年を超える方は、売っていなくても譲渡したものとみなして課税されます(所得税法第60条の2)。納税猶予の制度もありますが、出国前の手続きが前提です。


海外がからむ税務は、高円寺の税理士へ

W総合会計office(東京都杉並区高円寺) は、海外在住者・国際税務のご相談に対応しています。

「日本で申告が必要かどうか分からない」という段階から、お気軽にお問い合わせください。

非居住者の方の確定申告は 確定申告の代行、海外がからむ相続のご相談は 相続税・贈与税申告 のページにまとめています。


※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成した一般的な解説です。税制は改正される場合があり、個別の状況(居住地・国籍・租税条約など)により取り扱いが異なります。実際の申告にあたっては税理士にご相談ください。

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