Inheritance Tax

相続税はいくらから?基礎控除と計算の考え方を税理士が解説

代表税理士 渡邊巧
監修・執筆 — Author
代表税理士 渡邊 巧 W総合会計office(高円寺の税理士)
確定申告・法人税・相続税・贈与税・記帳代行・経営相談に対応。
公開:2026年6月 / 最終更新:2026年9月2日

杉並区高円寺の税理士・W総合会計office(代表税理士:渡邊巧)が、相続税が「いくらから」かかるのか、基礎控除・税率・主な特例の考え方をやさしく解説します。

「うちは相続税がかかるの?」——親や配偶者の財産を相続するとき、多くの方が最初に抱く疑問です。結論から言うと、相続税はすべての人にかかるわけではなく、「基礎控除」を超えた財産にだけかかります。

この記事では、相続税の基礎控除の計算、税率のイメージ、税負担を抑える主な特例まで、高円寺の税理士の視点で整理します。


1. 相続税は「基礎控除」を超えた分にかかる

相続税には、誰にでも適用される非課税枠「基礎控除」があります。計算式は次のとおりです。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

遺産の合計額がこの基礎控除の範囲内に収まっていれば、相続税はかからず、申告も原則不要です。超えた部分にだけ相続税がかかります。

法定相続人の数で基礎控除が変わる

つまり、相続人が多いほど基礎控除は大きくなり、相続税はかかりにくくなります。


2. 「遺産の合計額」には何が含まれる?

相続税の対象になる財産には、次のようなものがあります。

一方、借入金・未払いの税金・葬式費用などは、財産から差し引くことができます。不動産は評価額の出し方で課税額が大きく変わるため、特に大家さんや持ち家のある方は税理士による評価が重要になります。

生命保険金と死亡退職金には、それぞれ別枠で500万円 × 法定相続人の数までの非課税枠があります(相続税法第12条第1項第6号・第7号)。相続人が3人なら、生命保険金は1,500万円まで、死亡退職金も1,500万円までが、それぞれ課税対象から外れます。


3. 相続税の税率と速算表

基礎控除を超えた部分には、金額に応じて10%〜55%の累進税率がかかります(取得金額が大きいほど税率が上がります)。実際の計算は、法定相続分で按分してから税率をかけ、合算するという手順を踏むため複雑です。正確な税額は、財産の内訳をもとに試算するのが確実です。

相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超 3,000万円以下15%50万円
3,000万円超 5,000万円以下20%200万円
5,000万円超 1億円以下30%700万円
1億円超 2億円以下40%1,700万円
2億円超 3億円以下45%2,700万円
3億円超 6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

この表は遺産の総額にそのまま当てはめるものではありません。基礎控除を引いた残りをいったん法定相続分どおりに分けたものとして各人の税額を出し、それを合計して「相続税の総額」を求めます(相続税法第16条)。実際に納める額は、その総額を各人が実際に取得した割合で按分して決まります。

計算例:遺産6,000万円・相続人は配偶者と子2人

ここから、実際の取得割合で按分します。法定相続分どおり(配偶者2分の1、子が各4分の1)に分けたなら、配偶者の負担分60万円は次章の配偶者の税額軽減でゼロになり、実際の納税額は子2人分の60万円です。遺産6,000万円でも、納税額は総額の1%程度にとどまります。


4. 税負担を抑える主な特例

配偶者の税額軽減

配偶者が相続した財産については、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで相続税がかかりません。配偶者の負担は大きく軽減されますが、二次相続(その配偶者が亡くなったとき)まで考えた配分が重要です。

小規模宅地等の特例

自宅の土地や事業用・賃貸用の土地は、一定の要件を満たすと評価額を減額できます。ただし減額割合と限度面積は用途によって異なります

大家さんの賃貸物件の土地も対象になりますが、減額は50%・200㎡までで、自宅(80%・330㎡)とは条件が違います。自宅と賃貸の両方がある場合は面積の調整計算も必要になり、どの土地に適用するかで税額が大きく変わります。

ポイント:これらの特例は「適用するために相続税の申告が必要」なものが多くあります。特例で結果的に税額がゼロになる場合でも、申告して初めて受けられる点に注意が必要です。


5. 相続税が0円でも申告が必要なケース

「税額がゼロなら申告しなくてよい」は、半分だけ正しい説明です。分かれ目はゼロになった理由にあります。

申告の要否
ゼロになった理由申告
遺産の合計が基礎控除以下だった原則として不要
配偶者の税額軽減を使ってゼロになった必要
小規模宅地等の特例を使って基礎控除以下になった必要

配偶者の税額軽減は、申告書に適用を受ける旨と明細を記載した書類を添付した場合に限り適用されます(相続税法第19条の2第3項)。小規模宅地等の特例にも同様の申告要件があります。特例を使うために申告するという関係なので、申告しないまま期限を過ぎると特例が使えず、本来ゼロだったはずの相続税が発生します。

自宅の土地を相続して「特例があるから非課税になるらしい」と聞いた方は、まず申告が要るかどうかを確認してください。ここを取り違えたまま10か月が過ぎてしまうご相談は、実際に少なくありません。


6. 申告と納税の期限

相続税の申告・納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限を過ぎると加算税・延滞税の対象になります。財産の評価や分割協議には時間がかかるため、早めの着手が安心です。


7. 申告までのスケジュールと、集めておく資料

申告期限は10か月ですが、実際に使える時間はもっと短くなります。遺産の分け方が決まらないと申告内容が固まらず、その分割協議に入るためには財産の全体像を先に把握しておく必要があるためです。

相続開始からの主な期限
時期やること
3か月以内相続放棄・限定承認の判断(家庭裁判所への申述)
4か月以内準確定申告(亡くなった方の所得税の精算)
10か月以内遺産分割協議、相続税の申告と納税

早めに集めておきたい資料

戸籍謄本の取り寄せと不動産の資料集めに、思いのほか時間がかかります。分割の話し合いに入る前に着手しておくと、期限に追われずに済みます。当事務所では、必要書類の一覧をお渡ししたうえで、取得の代行が可能なものはこちらで進めます。


8. よくある質問

うちは相続税がかかりますか?

基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで決まります。相続人が配偶者と子2人なら4,800万円です。遺産の合計額がこの範囲に収まっていれば相続税はかからず、申告も原則として不要です。

生命保険金も相続税の対象になりますか?

対象になりますが、生命保険金と死亡退職金には、それぞれ別枠で500万円×法定相続人の数までの非課税枠があります(相続税法第12条第1項第6号・第7号)。

配偶者が全部相続すれば相続税はかからないと聞きました。

配偶者の税額軽減により、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。ただし適用には申告が必要で、二次相続で重くなることもあるため、一次相続だけで判断しないほうが安全です。

税額が0円でも申告は必要ですか?

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使ってゼロになる場合は、申告が適用の条件になっているため必要です。遺産が基礎控除以下でゼロになる場合は、原則として不要です。

申告と納税はいつまでですか?

相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割がまとまらないと申告内容が固まらないため、戸籍や不動産の資料集めは早めに着手してください。


相続のご相談は、高円寺の税理士へ

W総合会計office(東京都杉並区高円寺) は、相続税の申告・対策を数多くサポートしています。

※当事務所の相続税申告の報酬は、遺産総額に一定率を掛ける方式ではなく、財産の中身(不動産の件数、非上場株式や海外資産の有無など)と相続人の状況をうかがったうえで個別にお見積りします。お見積りは無料です。「うちは相続税がかかる?」という段階からお気軽にご相談ください。

相続税の試算から申告書の作成・提出までをお引き受けする場合の流れは、相続税・贈与税申告 のページにまとめています。


※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成した一般的な解説です。税制は改正される場合があり、個別の状況により取り扱いが異なります。実際の申告にあたっては税理士にご相談ください。

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