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Property Tax — 固定資産税

固定資産税の「住宅用地の特例」の付け忘れ
課税明細書の見方と、払いすぎた税金の戻り方

最近、ある土地の課税明細書を見ていて、住宅が建っているのに「住宅用地の特例」が付いていないことに気づきました。市役所の固定資産税の担当に電話で問い合わせたところ、付け忘れとのことで、納めすぎていた固定資産税が戻ることになりました。固定資産税は役所が計算して通知してくる税金なので、中身を確かめずに納めている方がほとんどです。けれども、住宅用地の特例が付くかどうかで、土地の固定資産税は4倍以上違うことがあります。特例の中身、付け忘れが起きやすい場面、課税明細書のどこを見ればよいか、戻るまでの手順を、地方税法と東京都の案内にもとづいて説明します。

代表税理士 渡邊巧
監修・執筆 — Author
代表税理士 渡邊 巧 / W総合会計office(高円寺の税理士)
確定申告・法人税・相続税・贈与税・記帳代行・経営相談に対応。
公開:2026年9月 / 最終更新:2026年9月27日

Residential Land Rule住宅用地の特例とは

固定資産税と都市計画税は、1月1日(賦課期日)に土地や家屋を持っている人に、市町村がかける税金です。東京23区では東京都がかけ、窓口は各区の都税事務所です。税額は「課税標準額×税率」で、土地の課税標準額は、固定資産課税台帳に登録された価格(評価額)をもとに計算します。

このとき、住宅の敷地になっている土地(住宅用地)は、課税標準額を価格の6分の1または3分の1にする特例があります。これが住宅用地の特例です。

住宅用地の特例(特例を当てはめた課税標準額)
区分固定資産税都市計画税
小規模住宅用地
(住宅1戸につき200㎡までの部分)
価格×1/6価格×1/3
一般住宅用地
(小規模住宅用地を超える部分)
価格×1/3価格×2/3

東京23区では、これに加えて、小規模住宅用地の都市計画税を2分の1に軽減しています(令和8年度)。

住宅用地になる土地

住宅用地かどうかは、1月1日の現況で判定します。

  • 専用住宅(全部が住まいの家)の敷地は、その家の床面積の10倍までの土地が住宅用地です。
  • 併用住宅(店舗や事務所と一緒になった家)は、居住部分が家屋の床面積の4分の1以上あれば、敷地の面積に下の表の率を掛けた部分が住宅用地です。
  • 住宅と一体で使っている庭や自家用の駐車場も住宅用地です。外部に貸している月極駐車場やコインパーキングは入りません。
  • アパート・マンションは、独立した住戸ごとに1戸と数えます。小規模住宅用地になるのは「200㎡×戸数」までです。
併用住宅の敷地で住宅用地になる割合
家屋居住部分の割合率
下の家屋以外1/4以上1/2未満0.5
1/2以上1.0
地上5階以上の
耐火建築物
1/4以上1/2未満0.5
1/2以上3/4未満0.75
3/4以上1.0

出典:地方税法349条の3の2・702条の3、地方税法施行令52条の11/東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

How Much It Matters特例の有無で、税額はどのくらい違うか

価格3,000万円・150㎡の土地に、専用住宅が建っている例で計算してみます。

計算例:価格3,000万円・150㎡の住宅の敷地(年額・概算)
項目特例あり特例が付いていない
固定資産税の課税標準額500万円
(価格×1/6)
2,100万円
(価格×70%)
固定資産税(1.4%)7万円29万4,000円
都市計画税の課税標準額1,000万円
(価格×1/3)
2,100万円
(価格×70%)
都市計画税(0.3%)3万円6万3,000円
合計10万円35万7,000円

差は1年で25万7,000円です。固定資産税だけで見ると、特例が付いていないほうが4倍を超えます。付け忘れが何年も続いていれば、その年数分だけ差が積み上がります。

住宅用地でない土地の課税標準額は、負担調整措置によって価格の70%を上限に少しずつ上がっていく仕組みです。長く更地だった土地に家を建てたのに特例が付かなかった、というような場合に、この計算に近くなります。

※負担調整措置と、東京23区の独自の軽減(小規模住宅用地の都市計画税の2分の1軽減、住宅用地以外の宅地等の課税標準額を価格の65%に抑える減額)は入れていない概算です。都市計画税の税率は、市町村によって0.3%より低いことがあります。
出典:地方税法349条の3の2・702条の3/東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」「令和8年度 土地・家屋の税金」

Where Errors Happen付け忘れ・認定の誤りが起きやすい場面

役所は毎年少なくとも1回、固定資産の実地調査をすることになっています(地方税法408条)。ただ、建物の中の使い方や住戸の数、敷地の使い方は、外から見ただけでは分からないことがあります。付け忘れや認定の誤りが起きやすいのは、次のような場面です。

確かめたい場面
場面確かめること
住宅を新築した・建て替えた1月1日に完成していれば、その年度から住宅用地になる。新築した翌年度の課税明細書で、特例が付いているか。建替え中の土地は、一定の要件を満たして申告すれば特例が続く
店舗・事務所を住まいに変えた用途の変更は役所が気づきにくい。住まいに変えた部分が、住宅用地に反映されているか
敷地が何筆かに分かれている家が建っている筆だけに特例が付き、庭や自家用の駐車場として一体で使っている隣の筆に付いていないことがある
アパート・マンション・社宅・寮小規模住宅用地は「200㎡×戸数」まで。戸数が少なく数えられていないか。会社が持つ社宅や従業員寮の敷地も住宅用地
店舗併用住宅居住部分の割合が4分の1以上か、2分の1以上かで率が変わる。間取りを変えたときは特に
週末や平日だけ住む家特例の対象外になる「別荘」は、毎月1日以上の居住に使うもの以外で、専ら保養に使う家。週末に住む郊外の家や、遠距離通勤者が平日に住む職場近くの家は、住宅に含めるのが適当とされている

アパートの例で言うと、600㎡の土地に6戸のアパートなら、200㎡×6戸=1,200㎡まで小規模住宅用地になるので、600㎡すべてが価格の6分の1です。これが1戸と数えられていると、小規模住宅用地は200㎡だけで、残りの400㎡は3分の1になります。

特例が外れるのが正しい場合

  • 1月1日に住宅が建築中・建築予定の土地(建替えの特例に当たる場合を除く)
  • 更地、資材置場、外部に貸している駐車場
  • 店舗・事務所・倉庫などの敷地、居住部分が4分の1未満の家屋の敷地
  • 家屋の床面積の10倍を超える部分
  • 空き家で「特定空家等」「管理不全空家等」として勧告を受けた家の敷地
  • 別荘の敷地

変更があったときは申告しておく

役所が状況をつかむために、住宅の新築・取壊し・用途の変更などがあったときの申告を、条例で求めている自治体があります(地方税法384条)。東京23区では、1月1日時点の土地の所有者が、翌年1月31日までに「固定資産税の住宅用地等申告書」を都税事務所に出します。申告がなかったために特例が付いていない、ということもあるので、変更があったときは申告しておきます。

出典:地方税法349条の3の2・384条・408条、地方税法施行令52条の11/総務省「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」(別荘の範囲)/東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」「住宅用地の申告等をお願いしています」「住宅を建て替える土地の特例措置のご案内」

Reading the Statement課税明細書のどこを見るか

課税明細書は、固定資産税の納税通知書と一緒に届きます(東京23区は毎年6月)。土地1筆ごとに、所在(地番)、地目、地積、価格、課税標準額などが載っています。見るところは3つです。

1 住宅用地の区分と面積

土地ごとに、住宅用地かどうか、小規模住宅用地・一般住宅用地の面積が印字されています。たとえば東京23区の名寄帳の書式では、「小規模地積」「一般住宅地積」「非住宅地積」の欄に分かれています。家が建っているのに「非住宅地積」に数字が入っていれば、確かめる価値があります。書式は自治体ごとに違うので、同封されている「見方」の説明もあわせて見てください。

2 課税標準額と価格の割合

住宅用地の課税標準額は、負担調整措置があっても、特例を当てはめた額(価格の6分の1・3分の1)を超えません。そこで、固定資産税の課税標準額を価格で割ってみます。

固定資産税の課税標準額÷価格の目安
割合読み取れること
6分の1(約17%)以下全体が小規模住宅用地として扱われている可能性が高い
6分の1超〜3分の1以下一般住宅用地が含まれているか、住宅用地でない部分がある。敷地が広い家なら自然なこともある
3分の1超少なくとも一部が住宅用地として扱われていない。家が建っているなら、理由を確かめる

都市計画税の課税標準額は割合が違う(3分の1・3分の2)ので、比べるときは固定資産税の欄を使います。

3 家屋の欄との突き合わせ

同じ課税明細書の家屋の欄で、種類・用途(居宅・共同住宅・店舗など)と床面積を見ます。実際の使い方と違っていないか、土地の面積が床面積の10倍を超えていないかを確かめます。アパートの戸数は明細書に出ないことが多いので、役所に「何戸として認定しているか」を聞きます。

課税明細書が手元にない場合や、持っている土地・家屋をまとめて確かめたい場合は、役所で名寄帳(その市町村にある所有資産の一覧)を取れます。東京23区では、課税明細書は再発行されません。

出典:東京都主税局「令和8年度 土地・家屋の税金」「令和8年度 土地・家屋名寄帳の見方」「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

From Call to Refund問い合わせから還付まで

付け忘れが疑われるときは、固定資産税の担当に問い合わせます。市町村では資産税課・固定資産税課など、東京23区では土地のある区の都税事務所(土地の担当)です。冒頭の例でも、市役所に電話で状況を伝えたところ、役所の側で確認して付け忘れと分かりました。

還付までの流れ
段階内容
1 問い合わせ課税明細書を手元に置き、土地の所在(地番)、家が建った時期、使い方(住まい・店舗・戸数)を伝える
2 役所の確認資料や現地で確認する。状況によって、住宅用地の申告書の提出を求められる
3 訂正の通知課税標準額と税額を減らす決定(減額の賦課決定)の通知が届く
4 還付納めすぎた税金が戻る。納めた日の翌日からの期間に応じて、利息に当たる還付加算金が加わる

なお、固定資産の「価格(評価額)」そのものに不服があるときは、固定資産評価審査委員会への審査の申出という別の手続があり、期間も納税通知書を受け取った日後3か月以内などに限られています。住宅用地の特例の付け忘れは、価格ではなく特例の当てはめの問題なので、まず担当課に事実を伝えるところから始めます。

出典:地方税法17条・17条の4・432条/東京都主税局「令和8年度 土地・家屋の税金」

How Far Back何年分さかのぼって戻るか

地方税法には、役所が税額を直せる期間の制限があります(地方税法17条の5)。ただ、それより前の年度の分についても、要綱を設けて「返還金」として支払っている自治体があります。何年分戻るかは、自治体の取扱いや事情によって違います。

問い合わせるときは、付け忘れがいつから続いているかを伝え、何年度分まで直してもらえるかをあわせて確かめてください。いずれにしても、見つけるのが遅れるほど、古い年度の分は戻りにくくなります。

また最高裁は、固定資産税を過大に課された納税者は、審査の申出などの手続を経ていなくても、国家賠償法にもとづいて損害賠償を求めることができると判断しています(平成22年6月3日判決)。ただし、役所の職員が職務上の義務に反したことが前提で、裁判での請求になります。

出典:地方税法17条の5・18条の3/最高裁判所平成22年6月3日判決

Tax on the Refund戻ってきた税金と、所得税・法人税

戻ってきた固定資産税をどう扱うかは、その土地を何に使っているかで変わります。

戻った税金の扱い
土地の使い方扱い
自宅固定資産税を経費にしていないので、戻った税金に所得税はかからない。還付加算金は雑所得
個人で賃貸・事業に使っている過去に必要経費にした固定資産税が戻るので、戻った年の不動産所得・事業所得の計算に入れる。還付加算金は雑所得
会社の土地(社宅・賃貸物件・事業用)損金にしていた固定資産税の還付は、戻った事業年度の益金。益金に入れなくてよいのは法人税や住民税などの還付で、固定資産税は入らない。還付加算金も益金

社宅の賃貸料も計算し直す

会社が役員や従業員に社宅を貸すときの賃貸料相当額は、建物と敷地の固定資産税の課税標準額から計算します。住宅用地の特例が付いていないと、敷地の課税標準額が大きくなり、賃貸料相当額も高く出ます。訂正の通知が来たら、直った課税標準額で計算し直します(役員社宅スキームで節税)。

相続税の評価には影響しない

相続税で土地を評価するとき、倍率地域では固定資産税の「価格(評価額)」に倍率を掛けます。住宅用地の特例は価格ではなく課税標準額を下げるものなので、付け忘れがあっても、相続税の評価額は変わりません。相続した土地の課税明細書は相続税の申告で必ず見るので(相続税はいくらから?)、そのときに特例の有無もあわせて確かめておくと、相続人が納める今後の固定資産税の確認にもなります。

出典:所得税基本通達35-1、法人税法26条1項/国税庁タックスアンサーNo.2215「固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合」

FAQよくある質問

住宅用地の特例は、自分で申請しないと付かないのですか?

特例は地方税法で決まっていて、1月1日に住宅の敷地になっている土地には役所が当てはめます。ただ、役所が状況をつかむために、住宅の新築・取壊し・用途の変更などがあったときの申告を条例で求めている自治体があります。東京23区では、翌年1月31日までに「固定資産税の住宅用地等申告書」を都税事務所に出します。建替え中の土地に特例を続ける扱いは、申告が前提です。

付け忘れだった場合、何年分さかのぼって戻りますか?

何年分戻るかは、自治体の取扱いや事情によって違います。地方税法には役所が税額を直せる期間の制限がありますが、それより前の分も、要綱を設けて「返還金」として支払う自治体があります。問い合わせるときに、何年度分まで直してもらえるかをあわせて確認してください。見つけるのが遅れるほど、古い年度の分は戻りにくくなります。

課税明細書のどこを見れば、付け忘れに気づけますか?

土地の欄で、住宅用地の区分と面積(小規模住宅用地・一般住宅用地・非住宅用地)を見ます。あわせて、固定資産税の課税標準額を価格で割ってみます。住宅用地の課税標準額は価格の3分の1を超えないので、3分の1を超えていれば、少なくとも一部が住宅用地として扱われていません。最後に家屋の欄の用途・床面積と、実際の使い方を突き合わせます。

アパートを持っています。何を確かめればよいですか?

小規模住宅用地は「200平方メートル×住戸の数」までです。住戸の数が少なく数えられていると、価格の6分の1になる範囲が狭くなります。住戸の数は課税明細書に出ないことが多いので、役所に何戸として認定しているかを聞きます。1階が店舗などの併用住宅なら、居住部分の割合も確かめます。

週末だけ使っている家は、別荘として特例の対象外になりますか?

総務省の通知では、特例の対象外になる別荘は、毎月1日以上の居住に使うもの以外で、専ら保養に使う家とされています。週末に住むための郊外の家や、遠距離通勤者が平日に住む職場近くの家は、住宅に含めるのが適当とされています。毎月使っているのに別荘として扱われているなら、担当課に確かめる価値があります。

戻ってきた固定資産税に、所得税や法人税はかかりますか?

自宅の分は、固定資産税を経費にしていないので、戻った税金に所得税はかかりません。賃貸や事業に使っている土地で、過去に必要経費にしていた場合は、戻った年の不動産所得・事業所得の計算に入れます。会社の場合は、戻った事業年度の益金です。還付加算金は、個人は雑所得、会社は益金になります。

Our Support当事務所のサポート

W総合会計officeでは、確定申告・相続税の申告・法人の決算で固定資産税の課税明細書をお預かりしたとき、経費に入れる金額だけでなく、住宅用地の特例が正しく付いているかも確かめています。付け忘れが疑われるときは、役所に何を伝えればよいかをお伝えし、戻った税金の申告での扱いまで引き受けます。最初のご相談から申告書のご確認まで、税理士が自分の手で行っています。ご連絡は、お電話・メール・LINEのどれでもかまいません。お手元の課税明細書を見ながらお話しいただければ、確かめるべき点をお伝えします。

※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の取扱いは事実関係により異なります。住宅用地の認定、申告の方法、さかのぼって戻る年数は、市町村(東京23区は東京都)ごとに異なります。記載内容は2026年9月27日時点の法令・公表資料によります。

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