非永住者のせどり・転売の税務|日本で仕入れ海外へ販売した利益はどうなる?
杉並区高円寺の税理士・W総合会計office(代表税理士:渡邊巧)が、香港など海外から来日した「非永住者」が日本でせどり・転売をしたときの税金を解説します。当事務所は広東語・英語対応スタッフが在籍しています。
「配偶者ビザなどで日本に住みながら、日本で人気の商品を仕入れて香港の人へ販売する」——こうしたせどり・転売(代購)のご相談が増えています。代金を香港ドルで香港の口座に受け取れば日本の税金はかからない、と考える方もいますが、実際はそう単純ではありません。ポイントは「どこで事業を行っているか」「どこで働いているか」です。
1. まず「非永住者」かどうかを確認する
日本の所得税では、その人の区分によって課税される所得の範囲が変わります。香港から来日して間もない方の多くは非永住者に当たります。
- 非永住者:居住者のうち、日本国籍がなく、かつ過去10年以内に日本に住所・居所があった期間の合計が5年以下の人。
- 課税範囲は、国外源泉所得以外の所得(日本で生じた所得)は全額、国外源泉所得は日本で支払われた分・日本へ送金された分のみ。
ここが誤解されやすい点:「海外払いだから日本では課税されない」と思われがちですが、これは“国外源泉所得”に当たる場合の話です。日本国内で行った仕事・事業から生じた利益は、そもそも国外源泉所得ではないため、海外で受け取っても日本で全額課税されます。せどりの利益はまさにこのケースに当たります。
2. ケース①:自分でせどりをして香港の人に売る
非永住者のAさんが、日本で商品を仕入れ、香港の人へ販売し、代金を香港ドルで香港口座に受け取った——というケースです。
仕入れ・梱包・発送の手配を日本国内で行っている以上、これは「日本で行う事業」です。したがって利益は事業所得となり、販売先が香港でも、香港ドルで香港口座に入金されても、日本で全額が課税されます(国外源泉所得ではないため、送金の有無は関係ありません)。
- 売上から仕入れ・送料・梱包費などの経費を引いた利益に課税されます。
- 原則として確定申告が必要です(利益がマイナスなら申告は不要)。
- 反復・継続して行えば事業所得、規模が小さければ雑所得として扱われることもあります。
消費税にも注意:商品を海外へ輸出して販売する取引は輸出免税(消費税0%)になります。売上に消費税は乗りませんが、課税事業者を選べば仕入れに含まれる消費税の還付を受けられる場合があります。輸出を証明する書類の保存やインボイス登録の検討が必要です。
3. ケース②:香港の会社の売上にした場合
「売上は香港の会社のもので、Aさんは日本で商品を買って送るだけ」という形にすれば日本の税金を避けられるのでは——と考える方がいます。しかし、ここには外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)という制度があります。
Aさんがその香港会社を実質的に支配している場合(日本側の持分合計が50%超で、かつAさん本人の持分が10%以上など)、一定の要件を満たすと香港会社の利益がAさん個人の所得(雑所得)として合算され、日本で確定申告・課税されます。
- 香港は法人の税率が低く(標準16.5%)、域外で得た利益が非課税になることもあるため、この制度の対象になりやすい構造です。
- 合算を避けられるかどうかは、香港側に事務所・人員などの実体があり、事業の管理・支配・運営を香港で自ら行っているか(経済活動基準)がカギになります。Aさんが日本から実務を回しているだけだと、合算課税される可能性が高くなります。
もう一つのリスク(会社側の課税):Aさんの日本での活動が、香港会社の「恒久的施設(PE)」と判断されると、香港会社自体が日本で法人課税されることもあります。「香港に会社を作れば日本の税金がかからない」とは限らない、という点に注意が必要です。
4. ケース③:香港の会社から給与をもらう場合
ケース②で、Aさんが香港会社から給与(人工)を香港ドルで香港口座に受け取った場合です。
給与は「どこで働いたか(勤務地)」で判定します。Aさんの仕事(仕入れ・手配)は日本国内で行われているため、この給与は国外源泉所得ではなく、香港払い・香港口座でも日本で全額課税されます。
- 給与所得として確定申告が必要です。
- 海外の会社からの給与は日本で源泉徴収されないため、本人が自分で申告・納税します。
- 香港で税金(薪俸税)を課されている場合は、外国税額控除により日本の税金から差し引いて二重課税を調整できます。
「183日ルール」は使えません:短期滞在者の免税(年183日以下なら源泉地国で免税)は、日本に住んでいない人が短期間働いた場合の制度です。日本の居住者であるAさんが日本国内で働いている本件には当てはまりません。
5. まとめ:形を変えても「日本に実体がある」なら日本で課税
- ①自分でせどり → 事業所得。海外販売・海外入金でも日本で全額課税(確定申告が必要)。
- ②香港会社の売上にする → 支配していれば合算課税でAさんに課税。会社側もPE課税のリスク。
- ③香港会社から給与 → 日本での勤務なので香港払いでも全額課税(外国税額控除で調整)。
いずれのケースでも、仕入れ・手配という実体が日本にあるかぎり、所得は日本に帰属し、日本での申告・納税が必要になります。香港の会社を介在させても日本の課税を回避できるとは限らない、という点を踏まえた設計が大切です。
非永住者の国際的なせどり・転売は、高円寺の税理士へ
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※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成した一般的な解説です。税制は改正される場合があり、個別の状況(居住地・国籍・持株割合・租税条約など)により取り扱いが異なります。実際の申告にあたっては税理士にご相談ください。