Contents
OverviewKSK2とは何か
KSKは「国税総合管理システム」の略で、全国の国税局・税務署をつないで、申告・納付・還付・督促・調査の情報を管理している国税庁の基幹システムです。これを新しい世代に入れ替えたのがKSK2です。KSK2という呼び名は通称ではなく、e-Taxの仕様書にも「KSK2対応版」として使われています。
国税庁は、この刷新のねらいを次の3つにまとめています(「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」)。
| 国税庁の表現 | 中身 |
|---|---|
| 紙からデータ | 書面中心からデータ中心の事務処理へ。紙で提出された申告書もAI-OCRで読み取ってデータにする |
| 縦割りシステムの解消 | 所得税・法人税・消費税など、税目別・事務系統別に分かれていたデータベースとアプリケーションを統合する |
| メインフレームからの脱却 | 独自の大型コンピュータから、オープンなシステムへ移す |
同じ資料の構成図では、これまでのKSKは「所得税・消費税」「法人税・消費税」と税目ごとに箱が分かれ、それぞれに「氏名等」「申告」のデータを持つ形でした。紙の申告書は一部の情報だけを入力し、分析は出力した帳票や表計算ソフトで行っていました。KSK2では、入力系(e-Tax・AI-OCR)、課税や徴収の処理、「統合データベース」、そしてBIツール・BAツール・AIを置いた「活用系」が1つのシステムの中に並びます。
出典:国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」(令和5年6月)38ページ「システムの高度化」
Timeline切替えの日程とe-Taxの停止時間
切替えにともない、e-Taxは次の時間帯に使えなくなりました。
| 日時 | 内容 |
|---|---|
| 2026年9月19日(土)0:00〜9月24日(木)8:30 | 切替えのためのメンテナンス。約5日間、e-Taxの受付・送信ができない |
| 2026年9月24日(木)8:30〜 | KSK2で稼働開始。e-TaxのIPアドレスが動的に変わる |
| 2026年9月26日(土)0:00〜24:00 | もう一度、終日メンテナンス |
9月は法人の7月決算の申告期限(9月30日)や、源泉所得税の毎月の納付期限(翌月10日)が重なる時期です。停止日の前後にe-Taxの送信が集中して遅くなることも考えられるので、月末の申告は日に余裕をもって送ることをおすすめします。
出典:e-Tax「国税システムの更改に伴うメンテナンス時間について」(令和8年4月22日掲載)
Payment Slips納付書と源泉所得税の徴収高計算書
実務でいちばん目にするのが、納付書の変更です。
納付書:「整理番号」8桁が「お問い合わせ番号」13桁に
- 納税者を特定する欄が、「整理番号」(8桁)から「お問い合わせ番号又は法人番号」(13桁)に変わりました。お問い合わせ番号は、税務署が送る文書と納税者の情報を結びつけるためにシステムが自動で振り出す番号です。
- お問い合わせ番号が印字されていない納付書を使う場合、法人は13桁の法人番号を記入します。個人は記入不要です。
- 「納期等の区分」欄に元号の記入欄が、住所欄に郵便番号欄が加わりました。
- 整理番号欄のある納付書は、当分の間そのまま使えます。
源泉所得税の徴収高計算書:窓口の用紙はA4の単票に
給与や報酬から天引きした源泉所得税を納める「所得税徴収高計算書(納付書)」も、同じく整理番号がお問い合わせ番号に変わりました。こちらは税務署の窓口で配るものにお問い合わせ番号があらかじめ印字されるので、書き込む必要はありません。
注意したいのは用紙の形です。
- 税務署の窓口で配る用紙は、これまでのA4三つ折り程度の複写式から、A4の単票式に変わる予定と案内されています。複写式ではないので、税額などを3か所に3回書く必要があります(国税庁は、市販のプリンタで印字できるツールを掲載する予定としています)。
- 年末調整の時期に税務署から送られてくる用紙は、引き続き複写式の予定です。
- 単票式の用紙は切り離さずに金融機関へ出します。左側の2次元コードは税務署の内部用で、読み取って納付することはできません。
- 整理番号欄のある複写式の旧様式は、令和10年9月頃まで使える予定です。
毎月、あるいは納期の特例で半年ごとに窓口の用紙で納めている会社は、手書きの手間が増えます。これを機に、e-Taxで徴収高計算書を送り、ダイレクト納付やインターネットバンキングで納める形に切り替えると、用紙の在庫も記入の手間もなくなります。
出典:国税庁「国税システムの更改について」/「G-2-8 現金に納付書を添えて納付」の「納付書(領収済通知書)の様式変更等」/「所得税徴収高計算書の記載のしかた」の「所得税徴収高計算書(納付書)の様式変更等」
Paper Returns書面で出す申告書・届出書
一部の書面の申告書・申請書・届出書と法定調書が、新しい様式になりました。国税庁が公表している一覧(2026年9月24日時点)には1,892の様式が載っており、法人税の別表や法人事業概況説明書、源泉徴収票・支払調書などの法定調書も含まれています。受付開始後は最新の様式で出すよう求められています。
- 申告書の控用がなくなりました。書面で出す場合は、提出前に自分でコピーを取っておきます。
- 配色は原則、白黒になりました。
- 過去にもらった用紙は、中身そのものが変わっていることがあります。手元の古い用紙を使う前に、最新の様式か確認してください。
AI-OCRで読むための書き方
新しい様式は、書面で届いた申告書をAI-OCRで読み取ってデータにする前提で作られています。国税庁は書面で出す人に次の協力を求めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用紙 | 市販の普通紙・再生紙、原則A4。しわ・濡れ・穴あけ・のり付けをしない。複数枚はクリップで留める |
| 印刷 | 文字は黒。国税庁のサイトから印刷した用紙をコピーして使い回さず、プリンタから直接印刷したものを使う。裏写りするときは裏面に書かない |
| 記入 | 枠の中に楷書で丁寧に。訂正も枠の中に収める。数字だけを書く欄に「¥」「円」を書かない |
なお、申告書の控えへの収受日付印の押なつは、KSK2より前の2025年1月にすでに取りやめられています。書面で出したことの記録は、自分で残す必要があります。KSK2では、申告書等閲覧サービスや開示請求で見る申告書のヘッダーに提出年月日が印字されるようになったので、あとから提出日を確認する手段はあります。
とはいえ、控えの管理・提出日の証明・読み取りの誤りのどれを取っても、e-Taxで出すほうが手間もリスクも小さくなります。国税庁もe-Taxでの申告を勧めています。
出典:国税庁「国税システムの更改について」/「様式変更された申告書等の公表時期・受付開始時期」(Excel)/「書面提出に当たって」(PDF)/「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」
Notices & e-Tax税務署からの通知とe-Tax
通知には13桁の「お問い合わせ番号」
税務署から届く通知等には、その通知を特定する13桁の「お問い合わせ番号」が印字されます。税務署に問い合わせるときにこの番号を伝えると、どの通知の話かがすぐに伝わります。届いた通知は、封筒ごとではなく番号の見える形で保管しておくと役に立ちます。
e-Taxで受け取れる通知が増え、同意の方法が変わった
- e-Taxで受け取れる通知(処分通知等。お知らせを含む)の対象が広がりました。
- 電子で受け取ることへの同意は、原則として「申請等の都度の同意」から「事前の一括同意」に変わりました。電子で受け取りたい場合は、これまで電子交付を使っていた人も含めて、e-Taxのマイページで一括同意の手続が必要です。一括同意にはメールアドレスの登録が要ります。
- 例外として、国税還付金振込通知書は引き続き申告ごとの同意で、電子申請等証明書と納税証明書は請求すれば電子で交付されます。住宅借入金等特別控除証明書と、インボイスの登録通知書は、2026年9月23日以前に同意していれば、その同意にもとづいて電子で届きます。
- 国税局長から法人への納税関係の処分通知は、電子交付に同意していても、当面は郵送です。
一括同意をすると、以後の通知は紙で届かずe-Taxのメッセージボックスに入ります。会社であれば、誰がいつメッセージボックスを見るのかを決めてから同意するのが安全です。紙が来なくなったことに気づかず、期限のある通知を見落とすのがいちばん困るパターンです。
そのほかの変更
- e-TaxのIPアドレスが固定から動的に変わりました(接続のたびに変わり、公開もされなくなりました)。社内のファイアウォールでe-TaxのIPアドレスを指定して通している会社は、URLでの指定に切り替える必要があります。URL自体は変わっていません。
- 税務署が送る文書や納税証明書で使う漢字は、JIS第1〜第4水準の範囲になりました。旧字体の一部は字形が置き換わったり、手書きになったりすることがあります。申告書に旧字体で書くことは引き続きできます。
出典:国税庁「国税システムの更改について」/e-Tax「処分通知等の電子交付について」/e-Tax「e-TaxホームページのIPアドレスの仕様変更について」(令和8年4月22日掲載)
Outlook税務調査はどう変わるか——当事務所の推定
ここからは、国税庁が公表している事実をもとにした当事務所の推定です。国税庁が「KSK2でこの人たちの調査を増やす」と発表しているわけではありません。事実と推定を分けて書きます。
事実1:AIによる調査先の選定は、KSK2の前から始まっている
「KSK2でAI調査が始まる」という説明を見かけますが、順番が逆です。国税庁は令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)の調査について、所得税では「選定にAIを活用するなど、効率的かつ的確に調査等を行った結果、追徴税額の総額は過去最高」、法人税では「AIも活用しながら(中略)調査必要度の高い法人を的確に抽出」したと、すでに書いています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 法人税・消費税の追徴税額(法人) | 3,407億円(直近10年で最高) |
| 法人の実地調査の件数 | 5万4千件(前年比▲7.4%) |
| 法人の調査1件当たりの追徴税額 | 634万円(前年比+15.4%) |
| 所得税の「調査等」による追徴税額 | 1,431億円(過去最高) |
| 所得税の実地調査の件数 | 4万7千件(前年4万8千件) |
| 所得税の「簡易な接触」の件数 | 68万9千件(前年55万8千件) |
| 消費税(個人事業者)の「簡易な接触」の件数 | 15万7千件(前年9万4千件・167.5%) |
実地調査の件数は減り、1件当たりの金額は増え、文書や電話で申告の見直しを求める「簡易な接触」は大きく増えています。当たりを絞って深く調べ、それ以外は書面や電話で広く確かめるという形が、KSK2の前からもう数字に出ています。
事実2:国税庁が重点にしている相手
| 対象 | 国税庁の公表内容 |
|---|---|
| 無申告の法人 | 法人税・消費税を総額355億円追徴、うち不正計算分228億円 |
| 消費税の還付申告をする法人 | 消費税を総額299億円追徴、うち不正計算分51億円 |
| 海外取引のある法人 | 海外取引に係る申告漏れ所得2,096億円、源泉徴収漏れ72億円 |
| 無申告の個人 | 所得税の実地調査1件当たり追徴税額524万円(所得税の実地調査全体299万円の1.8倍)。消費税は296万円(消費税の実地調査全体153万円の1.9倍) |
| 暗号資産の取引をしている個人 | 1件当たり追徴税額745万円(全体の2.5倍) |
| 海外投資等をしている個人 | 1件当たり追徴税額866万円(全体の2.9倍) |
| ネット通販・シェアリング等の個人 | 1,155件を実地調査、1件当たり追徴税額305万円 |
| 消費税の還付申告をする個人 | 1,008件を実地調査(前年910件) |
法人のAI活用事例として国税庁が挙げているものには、売上代金を代表者の個人口座に入金させて売上を除外していた例(追徴約1億円)や、偽りの請求書で貸付金を外注費に見せかけていた例(同約1億円)があります。ただし、個人口座への入金は申告書にも支払調書などの法定調書にも表れないので、データを突き合わせても直接は見えません。AIで調査先に選ばれ、調査の中で預金の記録を確かめて分かる、という順番だと考えられます。
事実3:KSK2で変わるのは「つながり方」
KSK2で国税庁が新しく手に入れる情報があるわけではありません。支払調書・源泉徴収票・国外送金等調書・CRS(海外の金融口座情報)などは、今までも税務署に届いていました。変わるのは、税目ごとに分かれていたデータが1つのデータベースにまとまり、紙の申告書も全部データになり、その上で分析の道具が動くことです。国税庁の構成図では、これまでは税目ごとのデータベースから帳票を出力し、表計算ソフトなどで分析していました。KSK2では、1つのシステムの中で、BIツールやAIを使って並べて見られるようになります。
推定:見えやすくなるのは、こういう人
以上から、当事務所では次のように見ています。KSK2で初めて同じ場所に並ぶものと、もともと国税庁の重点で、KSK2で確認の手間が減ると考えられるものを分けて書きます。
| こういう人・会社 | 理由 |
|---|---|
| 会社と社長個人の数字が合っていない | これまで別の系統だった法人税と所得税のデータが、同じデータベースに入る。役員報酬の源泉徴収と社長の確定申告、会社が社長に払う家賃と社長の不動産所得、社長と会社の間の貸し借りと利息を、税目をまたいで並べて見られるようになる |
| 紙で申告している人 | 今までは紙の申告書の一部の情報だけがシステムに入力されていた。AI-OCRで全部データになるので、e-Taxで出した人と同じ細かさで比べられるようになる。紙で出すこと自体で調査を受けやすくなるのではなく、e-Taxで出した人と同じ扱いになる、という意味です |
| こういう人・会社 | 理由 |
|---|---|
| 支払調書・源泉徴収票など第三者の資料と、申告が合っていない | 報酬の支払調書が出ているのに申告に入っていない副業・フリーランス、会社から家賃を受け取っているのに申告していない大家など。この突き合わせは以前から行われている。KSK2で手間が減る分、まずは文書や電話の「簡易な接触」で確認が来る形が増えると見ています |
| 所得税と消費税の辻褄が合わない個人事業者 | 所得税の申告では売上が1,000万円を超えているのに、2年後に消費税の申告がない。インボイスの登録をしているのに消費税の申告がない。個人の所得税と消費税は、これまでのKSKでも同じ系統で管理されていたので、KSK2で初めて分かるものではない。個人事業者の消費税で「簡易な接触」が1年で約1.7倍になったのはKSK2の前の数字で、インボイスの登録で消費税の申告を始めた人が増えたことの影響が大きいと見ています |
| 申告をしていない人・会社 | 国税庁が一貫して最重点にしている。資料情報がそろいやすくなるほど、申告がないこと自体が目立つ |
| 消費税の還付申告をする事業者 | 還付は申告書を受け付けた段階で審査されるもので、もともと重点。データが統合されると、仕入や輸出の資料と照らし合わせやすくなる |
| 海外に口座や収入がある人 | 国内の銀行を通る100万円超の送金は、マイナンバーの付いた告知書にもとづく国外送金等調書で本人と結びつく。海外の口座はCRSで残高や利子などの情報が届くが、分かるのは口座と残高で、売上の額ではない。暗号資産は、海外の取引所の分の情報交換が2027年に始まる。KSK2はこれらを申告と並べて見やすくするが、氏名・住所・生年月日で照合するしかない情報の弱さまでは解消しないと考えています |
海外の口座の情報は、どうやって本人と結びつくのか
マイナンバーを申告書に書かなくても、税務署は調べられます。税務署は住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に照会して、氏名・生年月日・住所などからマイナンバーと今の住所を確認できます(番号法14条2項、住民基本台帳法30条の9・別表第一)。申告書に番号を書かなかった人も、申告をしていない人も同じです。
ここからは当事務所の推定です。海外の金融機関から届くCRSの情報には、口座の名義人の氏名(ローマ字)・生年月日・住所が載っています。これを住基ネットの情報と照らし合わせれば、生年月日と住所が合うものは本人と結びつくと考えられます。
外国籍の方は、住民票の氏名が在留カードと同じローマ字表記が原則です。パスポートの綴りで開いた海外の口座と表記が一致しやすく、日本人よりもむしろ結びつきやすいと考えられます。
一方で、海外の金融機関が日本の住所を知らなければ、その口座は日本の居住者の口座として報告されず、情報が日本に届かないこともあります。ただし、情報が届かないことは申告しなくてよい理由にはなりません。日本で使うお金はどこかで国内の口座を通りますし、調査の対象になれば、預金の照会や、租税条約にもとづく外国の税務当局への情報提供の要請で確かめられます。
また、情報が届いても、分かるのは口座の残高や利子などで、売上や所得の額ではありません。国税庁は、CRSの情報を国外送金等調書や国外財産調書と合わせて分析するとしています。国外財産調書(その年の12月31日に5,000万円を超える国外財産を持つ居住者が提出。非永住者を除く)を出している人は、その財産から生じる利子・配当・売却益などが申告されているかを、多額の預金があるのに調書が出ていない人は、調書の提出と所得の申告の両方を確認されると見ています。国税庁は、提出が必要と見込まれる人に文書で照会していると公表しており、CRSの情報から調書の未提出と利子の申告漏れを把握して調査に着手した事例も公表しています。なお、国外財産の所得に申告漏れがあった場合、調書に記載していた財産なら過少申告加算税などが5%軽くなり、調書を出していなければ5%重くなります。結びついたあとは、残高や送金額と申告した所得が釣り合っているかを説明できることが大切です。
逆に言えば、第三者の資料と申告の数字が合っていて、期限内に申告している人にとっては、KSK2で調査を受けやすくなる理由はあまりありません。実地調査の件数はここ数年減っており(法人は前年比▲7.4%)、KSK2で急に増えるとは考えにくいところです。増えるのは「この点を確認してください」という文書や電話のほうだと見ています。
KSK2の効果が数字に表れるのは、早くても令和8事務年度(2026年7月〜2027年6月)の調査事績です。令和6事務年度の分が令和7年12月に公表されたので、同じ時期なら確かめられるのは2027年12月頃になります。それまでは、あくまで推定として読んでください。
出典:国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」(令和7年12月)1・2・5・6・11・12ページ/「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(令和7年12月)1・4・6・7・8・9ページ/「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」21・38ページ/国外送金等調書法3条・4条・5条・6条、同法施行令8条/国税庁「令和5年分の国外財産調書の提出状況について」(令和7年1月)/「令和5事務年度 租税条約等に基づく情報交換事績の概要」/番号法14条2項、住民基本台帳法30条の9・別表第一/国税庁「共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換に関する情報」/国税庁「非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度(FAQ)」/出入国在留管理庁「在留カードの漢字氏名表記について」
Checklistいま確認しておくこと
会社(法人)
- 源泉所得税の徴収高計算書を窓口の用紙で出している場合、次の納付から用紙の形が変わる可能性があります。旧様式の在庫を確認するか、e-Taxでの提出・納付に切り替えます。
- e-Taxで通知を受け取るなら、一括同意の前に、メッセージボックスを見る担当者を決めておきます。
- 社内ネットワークでe-TaxをIPアドレス指定で許可している場合は、情報システムの担当者にURL指定への変更を依頼します。
- 役員報酬・社長への家賃・社長との貸し借りについて、会社の帳簿と社長個人の申告の数字が一致しているかを、決算のたびに確認します。
個人事業主・副業のある方
- 取引先から支払調書が出ている報酬や、会社から受け取っている家賃が、申告に漏れなく入っているかを確認します。
- 2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えている場合や、インボイスの登録をしている場合は、消費税の申告が必要です。
- 紙で申告している場合は、控えのコピーを必ず取っておきます。これを機にe-Taxに切り替えるのも一つの方法です。
もし過去の申告に漏れが見つかった場合は、調査の通知が来る前に自分で直すほうが、加算税が軽く済みます。調査の通知の前に自主的に修正申告をすれば過少申告加算税はかからず、申告期限を過ぎていても、調査の通知の前に自主的に出せば無申告加算税は5%です。
文書や電話で「申告の内容を見直してください」と連絡が来る「簡易な接触」は、調査ではなく行政指導です。国税庁は、行政指導を受けて自主的に修正申告書を出した場合、延滞税はかかることがあるものの過少申告加算税はかからない(当初の申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%)と案内しています。税務署の担当者は、手続に入る前に調査と行政指導のどちらに当たるかを伝えることになっています。連絡が来たら、まずどちらなのかを確かめ、その段階でご相談ください。
出典:国税通則法65条6項・66条8項/国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問2
FAQよくある質問
KSK2の稼働にあわせて、何か手続をしなければいけませんか?
原則として不要です。手続が必要になるのは、税務署からの通知をe-Taxで受け取りたい場合の一括同意(これまで電子交付を使っていた方も必要)と、社内のネットワークでe-TaxのIPアドレスを指定して接続している場合のURL接続への切替えくらいです。
手元にある古い納付書や徴収高計算書は、もう使えませんか?
使えます。整理番号欄がある納付書は当分の間使用でき、整理番号欄がある複写式の所得税徴収高計算書は令和10年9月頃まで使用できる予定と国税庁が案内しています。
「お問い合わせ番号」は自分で書くのですか?
税務署が発番して、通知や納付書にあらかじめ印字します。印字のない納付書を使う場合、法人は13桁の法人番号を記入し、個人は記入不要です。
KSK2で、AIによる税務調査が始まるのですか?
新しく始まるわけではありません。国税庁は令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)の時点で、すでに調査先の選定にAIを活用していると公表しています。KSK2は、税目ごとに分かれていたデータを1つにまとめ、紙の申告書もAI-OCRでデータにする基盤の入れ替えです。AIが先、システムが後という順番です。
マイナンバーを書かずに申告すれば、税務署は海外の口座や収入と結びつけられないのですか?
結びつけられます。税務署は住民基本台帳ネットワークに照会して、氏名・生年月日・住所などからマイナンバーと今の住所を確認できます(番号法14条2項、住民基本台帳法30条の9)。申告書に番号を書かなかった場合も、申告をしていない場合も同じです。海外の金融機関から届く口座の情報(CRS)にも氏名・生年月日・住所が載っているので、これと照らし合わせることができます。
紙の申告書で提出しても問題ありませんか?
提出はできます。ただし申告書の控用はなくなり、原則白黒・A4の新様式になりました。AI-OCRで読み取るため、普通紙にプリンタから直接印刷し、金額欄に「¥」「円」を書かないなどの協力が求められています。控えは提出前に自分でコピーを取っておいてください。
Our Support当事務所のサポート
W総合会計officeでは、KSK2で変わった納付書や通知の受け取り方の確認、e-Taxでの申告・納付への切替え、会社の帳簿と社長個人の申告の突き合わせまで対応しています。会社と社長個人の申告を同じ税理士が見ていれば、両者の数字の食い違いは決算と確定申告の段階で直せます。過去の申告に不安がある場合や、税務署から文書・電話で確認が来た場合も、まずはご相談ください。
※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の取扱いは事実関係により異なります。第6章の「推定」は国税庁の公表資料をもとにした当事務所の見解で、国税庁が公表した方針ではありません。数値は国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(いずれも令和7年12月)によります。制度・様式は改正される場合があります(記載内容は2026年9月24日時点)。
会社の申告・源泉所得税の納付・税務署からの通知の確認までまとめてお任せいただく場合は 法人顧問・決算申告、個人の方は 確定申告の代行・記帳代行(丸投げOK) のページをご覧ください。